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PHP出版社刊 「トップが語る 仕事の指針・心の座標軸」(書籍)

トップが綴る「仕事の指針・心の座標軸」-私の生き方・考え方-

逃げては何も始まらない

トップが綴る「仕事の指針・心の座標軸」-私の生き方・考え方-
2006年12月4日発行 PHP研究所

「いつもと変わらぬ一日の始まりだ」と自分に言い聞かせている。

 会社の玄関のシャッターが上がってゆくとガラス越しに普段とは全く違う異様な光景があった。以前勤めていた会社のビルに本社機能を置いていた親会社が倒産したのである。2階はすでに蛻の殻だ。混乱の最中、取引先の担当者が私の胸座を掴み、凄んだ。また今まで私に対し軽侮の扱いをしていたある銀行の課長が、血の気の引いた面持ちで説明を求めてきた。親会社が経営危機に直面していたことは薄々気づいていたものの、最終的に自己破産に踏み切り、当時資本関係が薄れていた会社を存続させると聞いたのは数週間前だった。事実を知り、独立志向があった私は退職して商売を始めようかと相当悩んだ。しかし事情を知らない部下や周囲から託された思い、そして何よりも「逃げてはいけない」という聞こえざる声が日増しに私を支配していったことを思い出す。

 やがて倒産処理が管財人に委ねられ、一段落した頃、間接的に迷惑をかけた都市銀行の支店長が私をある企業オーナーへ紹介してくれた。結局その出会いが新しく立ち上げた今の会社の序章だった。このような奇跡に近いことも、あの時「逃げてはいけない」と何度も自分には聞こえた神がかり的な声に服従したことに始まっている。

 企業の目的は言うまでもなく存続である。しかし実際には10年存続できる企業は5%程度というデータもある。今でも時々フラッシュバックするあの時の教訓と、決して逃げずに向き合ってゆく精神こそが、経営者としての原点であると思う。

清水 康弘

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