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新建新聞社刊「新建ハウジング・プラスワン」(月刊誌)

新建ハウジング・プラスワン「私的工務店論」

私的工務店論・第1回
「工務店の仕事は経営者と社員が一丸となり
オールで漕ぎつづけるもの」

新建ハウジング・プラスワン「私的工務店論」
2009年2月号 新建新聞社

 時勢は100年に一度の大不況だという。一昨年の夏に端を発した米国発のサブプライムローン問題。当時の報道を振り返っても世界中の金融破綻を誘発するような未曾有の危機が襲ってくるとは誰も想像し得なかった。
 なぜかアニメの「北斗の拳」を思い出す。主人公ケンシロウが並みいる強敵に渾身の正拳突きを喰らわせ、「おまえはもう死んでいる!」というセリフを吐き捨てる光景だ。実は1年半前のサブプライムローン問題は、ケンシロウの正拳にも似た破壊力を秘めていたものだったからだ。
 今思えば、内側から蝕まれていく世界経済は、その余命をあたかも謳歌するがごとく、昨年末からの資源高に始まり世界同時インフレに突入した。原油価格200ドル/バレル超えに始まり、木材や鉄に至るすべての資源が、輸送コスト高も相まって、我々が生業とする住宅業界へも資材高騰の大波となって打ち寄せた。
 普段から知らず知らずのうちにメーカー依存度が高くなっている我々中小工務店は、量産で収益改善する術を持ちあわせず、押しては返すコスト高の大波を、ただ黙って見過ごすことしかできないでいた。
 しかし、ここでドラえもんの登場だ。ドラえもんがポケットから「アベコンベ」という棒を取り出し、すべてが一瞬でアベコベになってしまったのだ。
 「アベコンベ」に触れると、扇風機から熱風が吹き出したり、泥棒が警察官を追いかけたりと、世の中すべての価値観がアベコベになってしまう。この魔法そのものである。
 金融というはかない泡で膨らみ、覆い尽くされていた世界経済が破綻へと向い、一瞬で38兆円もの金融資産が消滅してしまったのだ。
 一転して資源高から、大幅な資源暴落へ。連日の過度なマスコミの報道は、国内の消費者心理まで冷やしてしまっている。さらに悪いことに、その状況に脅え、戦闘能力を失いかけた行動を繰り返す名だたる大企業たちがいる。
 その中で、当初から風頼みしか活路を見出せなかった国内の中堅デベロッパーや分譲住宅業者などは、常軌を逸脱した金融機関の貸し剥がしや消費低迷が重なり、ドミノ倒しのように相次いで倒産していった。
 これだけ悪い状況と理由が揃った今、注文住宅建築を生業とする我々の業界はどのようになってしまうのだろうか。
 ただ不況とばかり嘆いてはいられない。マスコミが不況を煽れば煽るほどチャンス到来とも言えるのではないだろうか。
 私は10年前の1998年に株式会社参創ハウテックを設立。この前後は、山一證券や北海道拓殖銀行が相次いで破綻した最悪の年だった。世の中「未曾有の不況」「日本経済はもうだめだ」などと言われていた時代でもあった。
 当時を振り返ると、会社立ち上げで奔走する私を尻目に「なぜこのような時に工務店を立ち上げるのか?」「住宅着工数も減少傾向なのに、なぜ住宅にこだわるのか?」と、私を思う周囲からは厭世的な意見ばかりが目立った中での旅立ちでもあった。
 せっかく私に助言を下さった人たちも、不動産業と住宅建築の区別がなかったのではないか?
 注文住宅建築に特化した工務店の仕事とは、帆を広げて風を待つのではなく、いつも経営者と社員が一丸となり、オールで漕ぎつづけるもの。ゴーイングコーンサーン(経営の持続可能性)のヒントがあるのではないだろうか。

清水 康弘

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