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TKC刊「戦略経営者」(月刊誌)

戦略経営者「行列のできる工務店の社長覚書」

「計数管理の実践で“考える工務店”へ」

戦略経営者「行列のできる工務店の社長覚書」
2010年5月号 No.283 TKC

 集客倍増、受注率大幅アップ、売上拡大を謳った多くのダイレクトメールなどが、連日のように住宅コンサルタント会社などから届く。どれを読んでも内容は、受注活動に偏り、いたって陳腐で、起死回生や一攫千金を煽ったものばかり。住宅技術や経営指南ならともかく、送り主が工務店の業容を本当にわかっているのかと疑いたくなる。「住宅建築はどんぶり勘定」と揶揄されがちな業界だけに、心ない住宅コンサル会社から見えている景色は、工務店に対して、これと言ったノウハウが無くても、金儲けできる恰好の客先なのかも知れない。
 私が目指すのは「考える工務店」だ。考える工務店とは、工務店経営に必要なプロダクト(モノづくりの態勢)、プロデュース(集客・受注工程)・マネジメント(経営)の三本の柱を確立することである。その中でマネジメント、とりわけ計数管理は最重要課題だが、零細企業が多い工務店にとっては、最も不得手な分野なのだ。しかしながら、計数の把握と管理は目標設定や堅実な経営を推進するためには避けては通れないスキルである。
 そこで、計数管理の重要性を具体的な業務に則して紹介してみよう。

 1.見積りマスターを作成する

 すべての見積り金額に根拠があり、仕入れ価格と販売価格を会社としてオーソライズしていることが大切。一見当たり前のことに思えるが、従業員個々の裁量に委ねている工務店が多く、担当者によって売価が異なる。数万にも及ぶ工事項目のひとつひとつに仕入れ単価と売価を設定するのは気が遠くなる作業だが、ここを避けては経営できない。売値は経営そのものに直結している。

 2.経営計画書を作成する

 翌期の事業計画書を作成する。営業段階から実施設計、確認申請、施工、引渡しまでの期間は、一般的に1年~1年半を要する。翌期の経営情報は受注残と営業進捗状況を計数化することで、来期の見通しを概ね把握することができる。しっかり紙ベースにまとめ、損益分岐点を把握することで、経営上の問題点や目標も明確になり、達成に向けた行動を喚起できる。また、従業員と目標を共有することが可能になり、人事評価にも繋げられる。

 3.キャッシュフロー(資金繰り)表を作成する

 経営計画作成の次はキャッシュフロー表(資金繰り表)作成だ。請負契約時の支払条件と工程を、入金予定、変動費の出金(工事外注費など)と固定費(人件費や家賃、広告宣伝費などの販売管理費)を半年先程度までエクセル表などにまとめ、当面の資金状況を把握する。これを継続する癖をつけておくことで、資金で慌てることなく、日常業務に専念できる。
さらにここで気を付けるべきは、完工高と資金繰りは、必ずしもリンクしないということ。受注棟数が増えていく段階で懸念される問題は、仕事をこなすために固定費が増え、資金が追い付かないという拡大破綻型経営に陥ってしまうことだ。モノを右から左へ流すことで利益を生める仕事ではないだけに、緩やかな成長を志向することが基本となる。

 4.月次決算は必ず行う

 月次決算は必ず行うべきだ。住宅建築業の場合、竣工が12月と3月に集中することが一般的で、12カ月すべての月次ベースでの黒字化は難しいが、販売管理費の推移や経費等の増減を把握し、未成工事支出金と完成工事未払い金とのバランスとキャッシュフロー表を比較することで、資金回収状況や経営状況を把握し、短期で問題解決へ向けた行動を起こすことができるからである。工務店経営に必要な計数把握や管理について、実務を通して、気が付いたことを述べてきたが、弊社と親交が深い地域工務店は、不景気の中でも比較的業績が良い会社が多い。全国から優良工務店が集う会合などで、彼らと顔を合わせる度に情報交換するのが恒例になったが、家づくりへの思いを語るのと同様に実践的で、参考になる話が多く、計数にめっぽう強い。「考える工務店」はそれぞれの地域で、必要な計数をもとに経営を数値化し、実践している。

清水 康弘

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