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連載「デュアルライフ」

プランニング

 間取りの具体的なイメージは、もともと持っていた。平面上は正方形にすることで建築コストを下げることを念頭においていた。(同じ面積であっても正方形と長方形では外周長さが異なる。例えば4平方メートルが正方形であれば2x2、外周長さは8メートルとなり、長方形であれば4x1で、外周長さが10メートルになる。)正方形にすることで外壁面積や基礎の長さなどを軽減でき、コストコントロールがしやすくなるからだ。
 正方形で切り妻屋根の家、正面から見たときは2階建てというより平屋に見えた方が周囲の景色とも調和するのではないか。
玄関の木製開き戸を開けると、脇に大型収納、その反対は土間に見立てたタイル張りのリビング、天井は大きな吹抜けが良い。 キッチンは対面型もしくはアイランド型にして、ダイニングと繋がりを持たせたい、頭の中を整理して山口さんに伝えるためにゾーニングをメモ用紙に描いて渡した。山口さんにしてもまるで自分のセカンドハウスをつくるようなモチベーションで対応してくれているのが何よりも有り難い。
 一週間ほどでイメージしていたプランが出来上がった。設えに使う素材や設備、さらに断熱性能などの温熱環境は後で考えることにして、役所への申請手続きを優先することにした。実はこの地域は別荘管理上の協定がある程度で確認申請が必要ない場所なのだ。
 都内で家を建てるとなると、建築基準法を順守するだけでは事足らず、地域安全協定など厄介な縛りがあって、建物の形状や屋根の勾配などが厳しく制限される。都内で実績を積んだ設計者でなければ家は建たないのである。

プランのスケッチ

 話は横道に大きく逸れるが、以前、都内の新築案件をめぐって次のようなことがあった。
 練馬区の新築案件受注を名門私立大学出身の都内の建築家と弊社とで競い合っていた時のことだ。お互いにプレゼンしたのだが、結果として弊社は負けてしまった。建て主さんから、建築家の方のプランの方は部屋が広く、天井が高いと、妙なことを理由として告げられていた。ただ施工は参創さんに頼みたいからその建築家を訪ねて欲しいと頼まれた。
 あまり気が進まなかったが、後日訪問して基本設計が完了した図面を見せていただいたところ、驚愕してしまった。そう言えば「広い?高い?」と言っていたよなぁ。これでは弊社が負けるのは当り前で、地域安全協定の高度斜線を全く守っていないのだ。
 おそるおそる「先生、この建物建てることができませんよ。法的に成立していませんから・・・」と助言した。
 そうすると、「きみねぇ!何を根拠に言っているのだね!」と、マジギレして思わぬ展開に至ってしまった。
「計画地は第一種低層住居専用地域なので、この計画だと完全に斜線に当たっています。」
「ちょっと待っていて下さい!」と奥の部屋から建築基準法の本を持ってきて、講釈が始まってしまった。
「あのう、基準法ではなく・・・」と言ったところで、全く埒があく状況ではなくなっていた。
 老練で有名大学出身の先生であっても、全く無知だったのだ。結論はその場は私の思い違いということにして、一旦会社へ戻ってから、計画地に該当する資料をメールで送って差し上げた。後日談だが、その建築家は建て主さんに謝罪と説明義務は果たしたらしい。

 普段は都内のようにやたらと法的規制が厳しい地域で仕事をしている自分にとっては、確認申請が必要ない地域に設計するなどにわかに信じがたい話である。しばらくして原村役場の建築係りに図面を持参して申請に行ったところ、数時間後には許可が下りた旨の連絡をいただいた。
 密集地とはまるで世界が異なるのだと実感した瞬間だった。

                                            ・・・つづく

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