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連載「デュアルライフ」

凍結深度

 ローンの審査では無事シロだったことが判明した。またプランや設計のことについてもすべて予定通りに進み、残すことはよもや話しの当事者とも言えるHさんの会社(ファインヴィラ)が工事を開始するタイミングを待つだけになった。当初の予定では5月の連休明けに着工し、山では晩秋を迎える10月には完成予定だった。
 8月は高原避暑地と言う特性から別荘を訪れる人も多く、協定のようなものがあって工事は原則できないことになっている。秋までに工事をあげるとなると、それほど余裕はない。
 しかし世の中はそんなに思ったようにいかないものだ。今度はなかなか工事が始まらないのだ。Hさんは優秀なビジネスマンではあるが、施工会社を経営するのは何せ初めてのことだ。ましてや人脈が少ない長野県での施工となると、協力業者にもなかなか刺さらない状況のようだった。
 そうこうしながら基礎工事がおよそ一カ月遅れでようやく始まった。八ケ岳山麓の別荘地周辺では、冬の気温が氷点下になることから、東京のような温暖地では考えられないような深い基礎にしなければ建物が構造的に成立しない。
 「凍結深度」といって、冬場に気温が0度以下に下がる北海道のような寒冷地では、地表から下の一定の深さまで凍結する。この凍結するラインのことを「凍結深度」または「凍結線」といい、地域や標高によってその深さが違う。地面が凍結すると膨張して地盤が押し上げられるため、建物の基礎の底板(フーチン)や水道本管からの横引き給水管は、凍結深度より深いところに設置する必要がある。凍結深度より浅いと、基礎がゆがんだり、水道管が破裂したりするおそれがある。
 計画地周辺では、厳寒期になると氷点下15℃以下になることも想定して、北海道旭川市の平地とほぼ同じ凍結深度80センチとした。このように根切り底が深いことから、布基礎にし、且つ基礎の表裏の両側に厚い断熱材を貼った。
 こうして寒冷地対応型の基礎工事の目処がたち、コンクリートを打設するために使った型枠がはずされるのが9月になってからだった。
 「これから大工さんが現場に入って、順調に工事が進んだとしても、年末竣工がぎりぎりではないか?」
 「雪が降ると外壁周りの工事ができないから、来春まで遅延してしまうのではないか?」
 今回は建て主の立場でひたすら想像をめぐらしてはいたものの、工事はさらに、僕の想像を遥かに超えて、迷走し、どんどん悪循環に陥ってしまう。

プランのスケッチ
                                            ・・・つづく

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