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「理科系工務店のススメ」~野池学校を通じてわかったこと~ 2/2

新建ハウジング・プラスワン「理科系工務店のススメ」

 「家づくりの目指す方向は工学」

 「弊社は高い技術力を売りにしている」
 どこの工務店でもよく聞く言葉です。弊社も「技術」や「技術力」という言葉をよく使います。それ自体は決して間違ったことだとは思いませんが、中小零細企業が外向けに発信する技術は個人に根差すものがほとんどで、会社全体の財産とは言い難いものです。
 通常は、優秀な現場監督や設計担当者が数人在籍しているだけで、あるいは社長の技術力が図抜けていれば「わが社は技術力が高い」と言いたくなるものです。しかし社長や一部の優秀な社員にもしものことがあれば、たちまちそれは形骸化してしまう、はかないものです。
 「住宅産業にはイノベーションがない」とよく言われています。語彙を弄ぶつもりはありませんが、本来的な意味で、我々工務店が向きあうべきものは科学や技術の世界なのでしょうか。
 私自身も長期優良住宅先導事業に3年続けて挑戦し採択されましたが、時間を割き詳しく調べ尽くしても、新しい発見や発明はありませんでした。
 ほとんどの発見は「CASBEE」や「自立循環型住宅」、「住宅の省エネルギー基準の解説本」などに定量的にまとめられています。

 結局、このようなテキストを参考にして、既存技術の組み合わせを有効かつ適切に行なうことで、長寿命化に寄与する住宅新築やリフォームを行なうことが大切であることに気がつきました。
 研究開発の促進をイメージすれば、「科学(Science)とは真か非真かを問う発見を目標にするもの」と言えます。「技術(Technology)とは適か不適かを問う発明に近いもの」です。
 普段われわれ工務店が使っている科学や技術という言葉からは相当乖離した世界のようです。
 それでもハウスメーカーが供給する住宅のように家全体を設備だと割り切ってしまえば、住宅の省エネイノベーションの余地が生まれてきます。絶対的な量を背景に進めているインフラ企業との共同開発や提携がそれです。開発に当たっては必ず試作やモニター試験をする「場」が必要になりますから、研究開発型企業にとってはこの上ない相手先に成り得るわけです。
 ところが、経済基盤が脆弱な我々工務店が、大手ハウスメーカーと同じような設備系省エネ住宅を供給していたのでは、たちまち競争に巻き込まれ、消耗戦に突入してしまいます。消耗戦の果ては言わずもがなです・・・。
 これからの工務店のあるべき姿とは、理科の基礎知識をもっと深め、自然や物事の道理を見極めること。その上で向かうべき方向は「工学」(Engineering)に近づくことだと思います。工学とは「効率や経済性、すなわち損か得かを判断基準にして最適化を図っていくこと」だからです。
 工学の力を駆使して、一棟一棟丹念に計画地の法的課題や自然条件などの個別対応を強化してゆくことは、量と標準化を徹底しているハウスメーカーの力が及ばないところなのです。

 「工務店は必要なくなる」 議論に立ち向かうために

 「理科系工務店のススメ」を啓発していこうとしている私ですが、元をたたせば根っからの文系人間です。
 私の理科系魂は自己防衛本能から生じたものだと思います。社会人としてスタートした時から、建設業の中で商社、サブコン、メーカーを転々流浪してきました。そのような仕事環境では、ある程度理科的知識を持っていなければ、交渉に負け続け、その度に上司に叱責されることになります。
 また、商社にいた時はメーカーと工務店や建設会社を繋げる仕組みづくりに、メーカーにいた時は販売先や販売価格の交通整理に奔走していました。
 しかし、今は工務店経営者として、いかにしてそうしたしくみに巻き込まれず、交通整理の隙間をかいくぐるかを思案する毎日です。さらに建築基準法、長期優良住宅法や瑕疵担保履行法など、制度改革や法改正がある度に右往左往しながら、社内態勢の立て直しを継続している日々です。
 それこそ三歩進んで二歩下がる繰り返しの中でも、これからの家づくりに必要な理科的知識を少しでも多く習得し、工務店の実務を工学へ導く努力を怠っていません。
 住宅新築の需要が落ち込むなか、さらにそれに追い討ちをかけるような議論が商社やメーカーの一部から聞こえてきます。「近い将来、工務店は必要なくなる」という議論です。
 現にここ6,7年で「ゼロイチ工務店」と呼ばれる工務店機能を十分に持たない事業所が6万社ほど消滅したとされています。真摯に愚直にモノづくりにこだわって生きている我々工務店は、工務店のさらなる減少に拍車をかけるような議論には反論しなければなりません。
 そのためには、今までのモノづくりの姿勢をしっかり堅持しながら、様々な既存技術を他人任せにせずに習得するとともに、今までの思い込みを捨て、一歩でも工務店の生業を工学に近づける努力を惜しまないことです。未来を予測し、悲観するのではなく、未来を創造することが大切です。幸い、われわれ工務店のほとんどは体育会系に似た家づくりへの情熱を持っています。また、様々な法対応の中で、文科系的素養も必然的に培ってきました。
 そしてその仕上げ段階として「理科系工務店のススメ」にご賛同して戴き、顧客やメーカー・流通業者からその新しい工務店像が評価されることを切望します。

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清水 康弘

 新建ハウジング・プラスワン「理科系工務店のススメ」 2010年11月号 新建新聞社

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