施工事例「再建築不可! 築60年以上の耐震改修と温熱改修工事」

REFORM

Prologue

N様は90歳のお母様と同居、住まいは昭和37年に居住した築60年以上の木造2階建ての住宅です。
敷地の接道が2m未満のため、建て替えが不可能です。
今回のリフォームは高齢のお母様のため、冬は暖かく夏は涼しく、地震などの災害に強い改修工事を計画しました。

N様

冬がとても寒いので、母がヒートショックを起こして心筋梗塞や脳卒中を起こす心配があります。各部屋の温度差が少ない暮らしがしたいです。
また、随分前の建物なので、おそらく耐震性がないと思います。大きな地震に備えて耐震性のある住まいにしたいです。

設計者の考え

設計:尾崎

まず建物調査を行ないます。建物調査では建物の間取りや窓の位置、構造や各部署の劣化具合を確認します。今回の調査は一般社団法人住宅医協会の滝口さんと行なうことになりました。
>>> 住宅医とは?

設計:尾崎

建物調査は1日かけて建築士6人で行ないました。天井や壁・床を取り、建物の躯体の細部の大きさや位置を図面化していきます。
1階の床下に潜るとシロアリを発見しました。多くの部分で食害を確認したので記録していきます。この調査で現状建物の性能や構造を把握し、今後の改修計画につなげていきます。

設計の考え方

Before → After

改修前

改修後

設計:尾崎

改修前と改修後のプランです。お母様は段差のない1階を中心に生活できるようにプランニングしました。
住宅密集地の1階LDKは室内が暗くなりやすいので、吹抜けを設けて明るく風通しのよいプランにしました。断熱性能を高めると吹抜けがあっても寒くなりません。吹抜けにはシーリングファンを設けて、上った暖かい空気を下に戻すようにしています。
トイレと洗面脱衣室・浴室とつなげることで介助がしやすい環境を作りました。

設計のポイント

バリアフリーに

1FのLDKを明るく

設計:尾崎

将来的に車椅子の介護生活を考え、アプローチはスロープとしました。

改修工事①

杭工事

昔は川だった!?
そこで地盤調査をしたところ、軟弱地盤であることが判明。 改修工事にあたり、まず杭工事から始めました。

設計:尾崎

建物調査時に地盤調査も行ないました。住まいが建っている敷地は昔は川だったようで、地盤状態がよくありませんでした。住宅の基礎は昔のコンクリート基礎であったため、鉄筋が入っておらず、新たな基礎を造ります。新しい基礎の下には建物の荷重を支える杭を設置することにしました。

現場監督

建物の骨組みを避けながら小型重機による鋼管杭工事です。本当は1本の長い杭を打ちたいのですが、建物を避けながらなので短い杭を溶接しながらの工事となります。もちろん溶接による杭の強度低下を考え、強度がしっかりと出るように施工します。

改修工事②

耐震改修

現場監督

解体工事が終わり、基礎工事がスタートしました。現況の基礎の中に新しい基礎をつくり、建物をしっかりと支えます。新しい基礎は鉄筋コンクリート造とします。

現場監督

写真左:基礎が完成しました。
写真中:耐震性能を上げるために外周部に貼った構造用合板です。スケールを置いて釘のピッチを写真に記録しています。この構造用合板を打ち付けた釘の壁を「耐力壁」といいます。耐力壁は大きな地震に建物が耐えるための大切な壁です。今回の住まいは耐震等級3レベルに耐震性能を引き上げています。
写真右:シロアリの食害があった柱は交換し、強度不足の梁は補強または新しい梁に交換しました。

耐震改修工事の進め方について

改修工事③

温熱改修

屋根断熱/充填断熱+付加断熱

現場監督

断熱工事に入りました。屋根の断熱は発泡スチロール系断熱材で屋根の外側を覆います。この後に通気層を設けて屋根材(ガルバリウム鋼板)を葺きます。

外壁断熱/充填断熱+樹脂サッシ

現場監督

外壁の外側と内側に断熱材を貼りました。二重に断熱することで断熱性能を高めます。窓は断熱性能の高い樹脂窓を採用しました。住宅密集地なので火災に強い防火窓です。

改修工事④

温熱バリアフリーのパッシブ冷暖システム

設計:尾崎

床下エアコンを採用しました。参創ハウテックで開発したパッシブ冷暖システムは、1台のエアコンで複数の部屋を暖めたり冷やしたりできる冷暖房システムです。エアコンの風を床下に吹き込むことでLDKだけでなく洗面脱衣室やトイレ・廊下・玄関もほぼ同じ室温にすることができます。
室温のバリアフリーをすることで冬場のヒートショックを防ぐことができ、健康にも省エネにも優れたシステムです。

工事完了

竣工写真

こうして7ヶ月間にわたる改修工事が無事に完了しました。

写真上:洗面脱衣室・浴室・トイレのつながりは介護に適しています。段差がないように配慮しました。
写真左・中:玄関は段差が少なくなるように式台を設けました。
写真右:暗くなりやすいLDKは吹抜けを通して明るく風の通る大空間としています。

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N様

住み始めて1年が経ちましたが、雪の日も室内は暖かく、35°Cを超える猛暑の日も母と安心して過ごせました。もう台風が来ても心配しなくて済みます。

設計:尾崎

お客様に快適に暮らしていただいていて、私どもも光栄です。 撮影に伺ったところ、家全体の室内温度が安定していて心地よかったです。

現場監督

全面道路が狭く、資材の搬入・搬出に苦労しました。また、解体すると想定以上にシロアリの被害がひどく、柱の劣化が進んでいました。
改修工事は壊してみてから判明する事実も多いので、追加の検討事項や工事発注も出て、新築工事以上に神経を使うことが多かったです。
いろいろと現場での苦労はありましたが、大工さんや職人さんたちの匠の技を駆使しあって、無事に竣工できました。
現場はチームワークが大切です。 今回特にそれを実感しました。


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